好きな場所で好きなように働く価値観を根付かせたい。地方創生推進プロジェクトで古賀市を活性化。
―小泉さんは東京出身で、2023年古賀市に引っ越してこられたとのこと。どんな経緯があったのですか?
大学を卒業後、2020年パーソルプロセス&テクノロジーに入社しました。業務とテクノロジーのコンサルティング会社で、僕はワークスイッチ事業部に所属して、主に業務やシステム関係の効率化を図るコンサルティング業務に携わっていました。担当するクライアントは関東の会社ばかりでしたが、コロナ禍に入社したこともあり、仕事は基本リモートで、必要に応じて出社するスタイル。業務の生産性向上は結果が分かりやすく、仕事にやりがいを感じていました。一方で、僕自身は縛られたくないタイプで、働く場所にはモヤモヤしていました。
―どんなモヤモヤでしょう?
東京にいなくても仕事ができるのではないかという思いでした。そんな中で目にしたのが、社内でワーケーションの参加者を募るお知らせでした。2022年の夏に1か月、福岡市今宿にある海辺のシェアオフィス「SALT」で仕事をしながら、近くの一軒家で6人で共同生活をするというプログラム。募集を見た瞬間、「僕はこれに行く運命だ」と思い、社内選考を経て参加できることになりました。
―小泉さんにピッタリの企画ですね。プログラムの目的は何でしょう?
東京本社から離れた環境でも、効率や質を下げずに仕事をできるかの検証が1つ。あとは、福岡という土地で新規ビジネスや事業の芽をつかめればという目的もありました。
1か月のワーケーションによって、福岡にいても全く問題なく仕事を進めることができて、むしろ質が上がる気がしました。となると、いよいよ東京にいる理由がなくなり、個人的には福岡がとても気に入って移住したいという気持ちが強くなりました。
―福岡のどんなところが気に入ったのでしょうか?
福岡は人が多すぎず、時間がゆっくり流れていて、海も山もすぐ近くにあり自然が豊か。それでいて、中心地の博多や天神、空港までコンパクトにまとまり、東京に行こうと思えばすぐ行ける。人があたたかくて親切なのも大きな魅力でした。
ワーケーションの期間中は、いろいろなところに顔を出し、たくさんの人と話をするように意識していました。地元の人のテントサウナに混ぜてもらったり、飲み会に参加させてもらったり。SALTで出会った方が古賀市の快生館で働いているということで、車に同乗させてもらって快生館で仕事をすることも。古賀市は今宿以上にゆったりしていて、とても魅かれました。そんな中、たまたま運よく古賀市役所の方とお話させてもらう機会に恵まれ、会社として古賀に拠点を置いて何かできないかなと模索を始めました。
―東京に戻っても社内と古賀市の双方とやり取りを続けて、思いが叶ったのですね。
もちろん僕一人の力ではどうしようもなく、上司をはじめ多くの方々に助けてもらったおかげです。社内で地方創生グループを立ち上げて、2023年4月から快生館に拠点を置き、古賀市とのプロジェクトを進めています。上司のほかにメンバーは僕だけで、一人で古賀市に引っ越してきました。7月に地元のメンバーを雇用して、今は2人体制です。
―どんなことを目指しているのですか?
「地方創生推進プロジェクト」として、古賀市で雇用を創出することと、所得を上げることを大きな目的としています。そのベースがあってこそ、住みやすいまち、住みたいまちになると思うので。そのために、まず1年でスキームを作ることが我々のミッションです。
具体的にはどんなことを?
2つの企画に取り組んでいます。メインは、古賀市民を対象として、システム系のスキルを身につける研修と、そのスキルを活かせる仕事の提供までセットにした無料の企画を10月から実施します。システム系のスキルは全国的にニーズが高く、我々も人材を必要としています。
10・11・12月に各月5人ずつ古賀市民の方を募り、自宅などで学べるプログラムを作りました。研修が終了した後の働き方としては、我々のネットワークを活用して正社員と派遣スタッフ、フリーランスという3つのパターンを想定しています。古賀市にいながら高収入が見込めるスキルを身につけることができて、働き方の選択肢も広がります。
【古賀でテレワーク】DX/ITスキルアップ講座 参加者募集 申込フォーム
―仕事の紹介まであるのが素晴らしいですね。
もう1つの企画は学生向けで、1泊2日のワーケーション体験型インターンシップを8月に開催しました。快生館に、地方にいながら社会の第一線で活躍したいと思っている学生が集合。メタバース空間における交流から始まり、コンサルタント業務の実践型ワーク、古賀市長・田辺氏などを交えたパネルディスカッション、働き方に関するワークや発表など盛りだくさんの内容で、大変好評でした。学生を対象としたインターンシップ企画は今後も続けていく予定です。
―小泉さんは、福岡に移住する前後で働き方が変わりましたか?
リモートという働き方自体は変わっていません。ただ、東京では基本的に自宅で仕事をしていて、出社に片道1時間半かかる環境でした。古賀に来てからは、仕事をするときは自宅から10分で快生館に来て、いろいろな人と交流できるのが楽しいです。僕は人と会って話すことが好きなので。あとは快生館に温泉があり、仕事の合間や仕事終わりに入れるのがすごくいい。リフレッシュできて、いいアイデアが浮かんだりします。
―職場に温泉があるなんて最高ですね。暮らしはどうでしょう?
暮らしは大きく変わりました。東京はどこに行っても人が多くて、友達と約束があるとき以外はあまり外出しなかったのに、福岡に来てから毎週末どこかに出かけるようになりました。人が多すぎず、自然が豊かで行ってみたい場所がたくさんあるので。この前は熊本の阿蘇をドライブして、宮崎や大分、鹿児島にも行きたいと思っています。東京時代に少しだけやっていたゴルフやサーフィンも本格的にやろうとしていて、アウトドアの生活に変わりました。最近はハンバーガーづくりにハマっていて、パテもバンズも全て手作りで、納得のいくものができるように悪戦苦闘しているところです。
―古賀市に住んでみて、あえてマイナス面をあげるなら?
うーん、それがマイナス面は全然なくて…。リアリティがなくなっちゃうから本当はあるといいけど、全く思いつかないんですよ。古賀市は福岡市に比べてさらに自然が豊かなのに、博多まで電車で20分とアクセスが抜群で、生活コストも下がりました。
古賀で特にお気に入りのスポットは、古賀駅西エリアにできたまちの社交場「るるるる」です。あそこにいると多様な人が集まってくるので面白い。古賀に住んでいる人は「古賀には何もない」と言うこともあるけれど、僕から見たらめちゃくっちゃポテンシャルがある。ポテンシャルの塊でしかない古賀をもっと面白いまちにしたり、内外にPRしたりすることに関わっていきたいと思っています。
―小泉さんのこれからのビジョンを聞かせてください。
ここ古賀市で僕自身が実践しながら、同じ志を持つ人と議論を深めて、好きな場所で楽しく働ける社会づくりに貢献していきます。
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