古賀市に根ざし、この地域からともに。働く環境を整えながら、仲間と一緒に取り組む未来へのチャレンジ。
―まずは会社の成り立ちから聞かせてください。
当社の始まりは、1959年に福岡市で創業した「小西ボディー」になります。後継者問題を抱えていた同社を三友機器が受け入れて、2012年子会社に。さらに2015年、大型車両を手がける須恵町の「太陽ボデー」を合併し、社名を「三友ボディー」に変更しました。2017年には経済産業省より「地域未来牽引企業」に選定されました。
私は愛知県小牧市の三友工業から福岡に来て、2018年から三友ボディーの社長を務めています。
―御社の事業について教えてください。
トラックは、運転席やタイヤなどを含めたシャーシ(車体)と、ボディーと呼ばれる荷台部分からできています。架装とは、積載する貨物に合わせて特殊な(改造した)荷台を製造することで当社では、お客様の要望に応じて、大型から小型までさまざまな架装を手掛けています。例えば、屋根のない平ボディーや屋根付き箱型のバン、自動販売機の飲料を運ぶボトルカー、重機運搬車、家畜運搬車、移動販売車、キャンピングシェルなど、オーダーメイドで一台一台さまざまなニーズにお応えしています。
―どんな強みがありますか?
創業65年の実績がありますから、多種多様なお客様のニーズに細やかに対応できます。また、図面がないものでも、お客様の話を聞いてきっちり作り上げる技術力が強みだと思います。
お客様は九州を中心に、北海道や愛知にもいらっしゃいます。他社が断るものでも、私たちはどうにかできないかとYESから入り、親切丁寧な対応を心掛けているので、おかげさまで「三友ファン」が増えていると実感しています。
―この工場は、2023年春に稼働されたとのこと。広々として美しく整っていながら、木の温もりも感じられて、素敵な空間ですね。
ありがとうございます。もともと久山町に2つ、須恵町に1つの計3工場で操業していたのですが、本社も工場も全てこちらに集約しました。物流業界は「2024年問題」に直面していて、ドライバーの長時間労働を抑制するために人材不足が顕著になり、トラックの大型化や業務の効率化が進んでいます。当社も架装メーカーとして、新工場ではより柔軟にいろいろなケースに対応し、物流業界の未来に貢献したいと考えています。 新工場は4万2231m2ほどの敷地に、ボディー棟や検査棟、塗装棟などを配し、事務所棟、社員食堂、社員寮は木造にて併設しています。その建物には地元の木を中心に活用していて、2024年1月には「第10回福岡県木造・木質化建築賞」の奨励賞を受賞しました。
―なぜ古賀市を選ばれたのでしょうか?
最も大きな理由は利便性の良さです。古賀インターまで車で5分と近く、市街地にも駅にも海にも近い。これまでの3つの工場で働いていた社員が通えるエリアであることも重要な決め手になりました。
―工場内に大きな空調設備があり、幅広い年代の方々がイキイキと働かれている印象を受けました。私たちが通ると、皆さん笑顔で挨拶してくださって、気持ちよく見学させてもらいました。
やはり会社で一番大切なのは「人財」ですから、できるだけ快適に働ける環境を整えたいと思っています。工場内の各所にスケジュールを掲示していて、いつどんな方が見学に来られるか分かるようになっていますし、情報を共有するようにしています。私は外出のない時には、工場を日に2回歩いて回るので、社員から「もっとこんな仕事をしたい」と声が上がってきたり、「みんなでトイレをきれいにキープしよう運動をしています」と話しかけてくれたりと、環境改善にはいろいろなやり取りがあります。
私たちは同じ型の車を大量に作るのではなく、1台ずつ違う仕様のものを仕上げていきます。ですから、優秀な人に来てもらい、もしくはやる気のある人を育てて、お客様の要望に沿える会社を目指しています。溶接や塗装、組み立てなど現場では、女性も男性と同じように活躍しています。
―今は働く人を募集されているのでしょうか?
はい、新工場になってから応募してくれる方が増えたので、これまで以上に積極的な採用をしています。新卒と中途の両方で、やる気のある人材が入ってきてくれています。敷地内には20部屋ある寮も完備していますので、社員であればどなたでも入居いただけます。
当社では新しい取り組みもどんどん進めているので、夢や希望を共有できる人と一緒にやっていけるといいなと思っています。
―外にあった移動販売車は、女性が発案して作られたそうですね。
そうなんです、現場でバリバリ働く女性の中で2人が「軽トラックの移動販売車を作ってみたい」というのでGOを出したら、素敵なものができました。シェル(荷台のボックス部分)が楽に開くのが特徴で、野菜や小物、コーヒーなどのお店に最適です。古賀のイベントに出展したら田辺市長も見に来られて、好評でした。
同じように、軽トラのキャンピングシェルも開発しているところです。ある自治体から、災害時にボランティアの方が利用できるスペースがなくて困っているという相談を受けて、軽トラに簡単に脱着できるシェルを作りました。軽トラでいくつでも持って行くことができて、シェルを下ろせば、軽トラは土砂の運搬など他のことにも使えます。これから活用できればと思っています。
―他にも、新しい取り組みをされているのですか?
はい、たくさんあります。新業態としては、2023年から特定自動車整備事業を始めて、一般の方や会社、自治体などから車検や修理でご利用いただいています。板金修理事業や塗装事業も手掛けています。オークションへの参加資格や中古車販売などのインフラも整えました。
また、カーボンニュートラルの一環として、伊藤園さんと協業にて茶殻を配合した軽量パネルを採用し、車の軽量化によるCO2削減を図る取り組みも始めました。
―とても面白いですね。
2030年を見据えた未来への挑戦として、さらに3つの取り組みもスタートします。ひとつは、お客様と協業にて新しく「ビジョンランナー」という車両を作ります。高精細LEDを使った大型ディスプレーを積み、全天候型でどこでもパブリックビューイングができる車両です。2つ目は「ボディーリビルト」で、これまでは新しいシャーシに新しいボディーを載せていましたが、これからは新しいシャーシに修繕したボディーを載せたり、反対に中古のシャーシに新しいボディーを載せ替えたりする事業を行います。3つ目として、大量運搬が可能なセミトレーラーへの架装も始めます。
―最後に、今後の展望と、古賀をどんなまちにしていきたいかを聞かせてください。
この新工場から、社員の幸せとエンドユーザーの満足を追求していきたいと思っています。物流業界はもちろん社会の課題を解決し、要望に応えていくことが当社の使命と捉え、新しいことにワクワクしながら取り組んでいきます。ゆくゆくは海外への進出も視野に入れています。
当社は古賀に来てまだ2年目ですが、古賀市にはさまざまな面でサポートしてもらっています。田辺市長のもと、これから伸びていく市であると期待を寄せていて、私たちも古賀にお住まいの多くの方を採用し、微力ながら支えていくつもりです。まわりの方々から「福岡に古賀あり、古賀に三友あり」と言われるような存在になれるように頑張ってまいります。
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